審査員の厳正な審査の結果、桜井宇陀広域圏（桜井市・宇陀市・曽爾村・御杖村）の魅力が表現された３２９点の作品の中から、最優秀賞１点、優秀賞５点、入選１０点、地域の魅力賞５０点を決定いたしました。

審査員の総評
　私は国内外の世界遺産の撮影をライフワークとしているので普段から歴史的な建造物や自然風景を撮影しています。生まれてからずっと奈良県在住なので県内の寺社仏閣や風景を撮影する機会も多いです。今回の対象地域である桜井市や宇陀市には歴史的に重要な場所も多く、また曽爾や御杖は県内有数の自然の宝庫でもありよく撮影に出かける地域でもあります。
　今回300点以上の力作を朝から夕方まで丸一日かけて見させていただきました。定番の場所以外に私の知らない穴場スポットで撮影されたものもあり私自身も勉強させていただきました。選出のポイントとしては定番になりすぎていない（場所ではなく構図や撮り方などが）ことや光の取り入れ方、主題をよく表現できているかというところに重点を置きました。同じ場所で撮られた作品でどちらにするか迷ったものも多く受賞を逃した作品の中にもとてもレベルの高いものも見受けられました。
　季節的にはどうしても春と秋が多くなりがちですが、逆に言うと夏や冬の作品は狙い目ではないかと思います。特に冬には山間部では積雪もあり私はとても魅力的な季節だと思っています。余談ですが昨年１２月の積雪時には急遽談山神社に行きました。（但し雪道の運転などは十分にご注意ください）
　応募地域に関してはアクセスの良さや撮影スポットの多さから桜井市と宇陀市で撮影された作品が多い印象でした。他地域にも魅力的な被写体が点在していますのでぜひ次回のコンテストに向けて撮影にお出かけいただければと思います。また若い方の応募が少ないように感じました。より多くの年代の方から応募が得られるように応募方法や告知などの工夫を次回に向けてお願いできればと思います。

審査員紹介

審査員：三田　崇博（さんだ　たかひろ） 氏　

1975年奈良県生まれ　写真家　現在生駒市在住
日本写真家協会（ＪＰＳ）会員。

入賞作品

最優秀賞

「一筋の光」
撮影場所 ： 室生山上公園芸術の森（宇陀市）
撮影者　 ：玉井　勝典（兵庫県西宮市）

審査員の講評
　タイトルにもある一筋の光がとても印象的な作品です。この光のおかげで周りの木々が暗くなりモニュメントを浮かびあがらせてくれています。また人物がいることで写真にストーリー性が生まれています。まるでアニメの一場面のような光景。まさにこの一瞬でしか撮れない神がかり的な一枚だと思い最優秀賞に選びました。

優秀賞

「憩いの場所」
撮影場所：曽爾高原（曽爾村）
撮影者　：上杉　裕昭（三重県名張市）

審査員の講評
　一見するとカナダかアラスカで撮影したのかと見間違えるような光景ですね。曽爾高原では秋のススキを捉えた作品が多いなか夏の魅力を大いに感じさせる作品です。野生の鹿がポイントになっていますが水紋が綺麗に出ているのも動きが感じられて良いと思いました。

「帰り道」
撮影場所：長谷寺（桜井市）
撮影者　：玉置　薫（大和高田市）

審査員の講評
　満開の桜にお坊さんの袈裟のオレンジ色が映える一枚です。桜越しに見える黄色の花も彩に一役買っています。ちょうど３人の下駄の裏が見えているのも面白いですね。とてもいい瞬間を捉えていますが、あえて欲を言うと構図の下部が少し寂しいのでお坊さんを中央より少し下に配するのもいいかも知れません。

「銀河に憧れて」
撮影場所：泰原橋（御杖村）
撮影者　：乾　謙一（北葛城郡王寺町）

審査員の講評
　画面を横切る１本のホタルの光跡がとても印象的な作品です。またそれに負けず劣らず満天の天の川が存在感を示しています。ここまで天の川を写しとめるにはおそらく赤道儀などの機材を駆使して撮られていると推察します。蛍の飛ぶ時間、天の川の出る時間、地球の自転の影響など計算され尽くして撮影された一枚だと思います。

「曽爾高原よりダイヤモンド富士山」
撮影場所：曽爾高原（曽爾村）
撮影者　：中川　寿士（宇陀市）

審査員の講評
　この作品を見て「えっ？？」となりました。奈良県は富士山の見える最も遠い地点というのは知っていましたがその多くは上北山村の大台ケ原から撮られたものだからです。そして年に２回しかチャンスのない（しかも少しでも大気が乱れていると見えない）この瞬間を見事に捉えられていることに脱帽です。

「池を彩る」
撮影場所：鳥見山（宇陀市）
撮影者　：林　巧（滋賀県彦根市）

審査員の講評
　この作品は他の入賞作品と少し違いひとつの物が突出して存在感を示すのとは対照的に画面内のすべてのものが調和しているように感じました。色とりどりのツツジ、新緑、霧、橋、水門がそれぞれ脇役となり主役の「池」を引き立てています。とても緻密に構図を作り込まれて撮られた一枚だと思います。

入選

「猛火熱風」
撮影場所：曽爾高原（曽爾村）
撮影者　：鈴木　理夫（北葛城郡上牧町）

「春風の中で」
撮影場所：榛原ふれあい広場（宇陀市）
撮影者　：竹本　晴行（北葛城郡上牧町）

「錦秋」
撮影場所：長谷寺（桜井市）
撮影者　：甲斐　清二（神奈川県横浜市）

「秋駆け抜る」
撮影場所：曽爾高原（曽爾村）
撮影者　：宝本　實（天理市）

「森厳」
撮影場所：龍王ヶ渕（宇陀市）
撮影者　：小川　香苗（岐阜県瑞穂市）

「冬木立」
撮影場所：榛原山辺三（宇陀市）
撮影者　：上田　昭夫（宇陀市）

「絶景スポット」
撮影場所：笠（桜井市）
撮影者　：阪野　輝男（奈良市）

「厳朝」
撮影場所：室生湖（宇陀市）
撮影者　：柳　敏明（高市郡明日香村）

「収穫のひととき」
撮影場所：大宇陀平尾（宇陀市）
撮影者　：鈴木　陵太（愛知県愛西市）

「煙る屏風岩」
撮影場所：屏風岩（曽爾村）
撮影者　：藤本　憲一（磯城郡田原本町）

上記画像の無断転載・無断使用を禁止します。

地域の魅力賞

「境内を練る太鼓台」	撮影者：	荒谷　譲	(大和郡山市)	「朝靄（あさもや）」	撮影者：	橋詰　輝己	(橿原市)
「祈りの間」	撮影者：	石野　孝廣	(三重県津市)	「陶灯」	撮影者：	橋詰　晴代	(橿原市)
「競演」	撮影者：	上田　節子	(磯城郡田原本町)	「御杖の初夏」	撮影者：	福本　整	(宇陀郡御杖村)
「冬ざれ」	撮影者：	奥谷　博文	(奈良市)	「ゴールデンタイムのススキ原」	撮影者：	藤田　文子	(滋賀県草津市)
「深まる秋」	撮影者：	表　弘明	(京都府城陽市)	「復活の彼岸花」	撮影者：	藤本　昌宏	(宇陀市)
「雲海に覆われた村」	撮影者：	木下　寛之	(大阪府東大阪市)	「列車の音、自然の香り」	撮影者：	藤原　勇輝	(大阪府茨木市)
「流れのままに」	撮影者：	桐山　卓也	(三重県津市)	「赤い橋」	撮影者：	細田　茉莉	(生駒郡安堵町)
「すすきに囲まれて」	撮影者：	桑原　秀樹	(滋賀県湖南市)	「夜の高原へのいざない」	撮影者：	堀内　勇	(和歌山県橋本市)
「屏風岩に咲く」	撮影者：	小石　重憲	(香芝市)	「薄霧の朝」	撮影者：	本田　和博	(香芝市)
「漂う朝」	撮影者：	小玉　剛史	(三重県多気郡多気町)	「内牧の日没」	撮影者：	増田　義一	(高市郡高取町)
「夕日に際立つ一本桜」	撮影者：	小林　宏充	(三重県津市)	「嵐の坂」	撮影者：	松田　常義	(三重県名張市)
「静寂」	撮影者：	齋藤　貞夫	(生駒市)	「春は曙」	撮影者：	松本　敏春	(大和高田市)
「新緑の室生寺」	撮影者：	坂上　厚美	(大阪府大阪市)	「雪の談山神社」	撮影者：	的場　久典	(桜井市)
「渓谷を彩る」	撮影者：	城山　勉	(橿原市)	「絶景の伽藍」	撮影者：	宮口　達夫	(天理市)
「磨崖仏と藤の花」	撮影者：	楚阪　武雄	(宇陀市)	「雨あがりて」	撮影者：	宮下　正之	(桜井市)
「新緑と雨」	撮影者：	高橋　順二	(和歌山県和歌山市)	「深野霧」	撮影者：	宮本　幸二	(奈良市)
「春爛漫」	撮影者：	武安　一明	(生駒市)	「東雲」	撮影者：	村上　早人	(磯城郡田原本町)
「迫る壁」	撮影者：	田中　克彦	(大阪府富田林市)	「お亀池に映る幽玄なすすき」	撮影者：	森下　賢治	(奈良市)
「朝光」	撮影者：	田中　邦子	(橿原市)	「献灯」	撮影者：	山崎　弘一	(大阪府和泉市)
「桜に映える筆の文字」	撮影者：	田中　雅之	(京都府京都市)	「参拝犬」	撮影者：	山中　健次	(和歌山県伊都郡かつらぎ町)
「麦の秋」	撮影者：	田畑　新二	(大和郡山市)	「冬の造形美」	撮影者：	山本　明子	(大和高田市)
「夏の陽」	撮影者：	富永　健仁	(神奈川県川崎市)	「光射す」	撮影者：	山森　恵子	(大阪府枚方市)
「惑星SONIに帰す」	撮影者：	永井　伸也	(宇陀市)	「樹影落ちる龍王ヶ淵」	撮影者：	吉田　晃夫	(京都府綴喜郡宇治田原町)
「春に向かって！」	撮影者：	西川　浩司	(大阪府枚方市)	「聖霊の舞」	撮影者：	吉村　誠	(大和高田市)
「神々しい秋の朝」	撮影者：	西薗　隆	(橿原市)	「曽爾高原を照らす夕焼け空」	撮影者：	渡邉　寛	(奈良市)

（五十音順）